「自閉症スペクトラム」とは「臨機応変な対人関係が苦手で、自分の関心・やり方・ペースの維持を最優先させたいという本能的志向が強いこと」を特徴とする発達障害の一種です。「少し変わった人」程度で済んで、問題なく日常生活を送れることも十分にあります。
イメージとしては「融通がきかない」「少しだけこだわりが強い」というものです。ポジティブな方向にいけば、「ブレずに自分のペースをきちんと守り、コツコツがんばり続けること」ができる人になります。しかし、不適切な環境におかれてしまうと日常生活に様々な障害を及ぼしてしまうことがあります。
この記事では「自閉症スペクトラム障害」という言葉ではなく、「自閉症スペクトラム」という言葉を使いながら説明していきます。なぜなら、「自閉症スペクトラム」は障害になるパターンもありますし、障害にならないパターンもあるからです。
自閉症スペクトラムにおいて有名な著書があり、この分野の臨床経験において世界的なトップクラスにおられる、信州大学診療教授の本田秀夫先生にお話をお聞きしました。
自閉症スペクトラムは、「広汎性発達障害」とほぼ同じ概念を指すものです。この中に、自閉症やアスペルガー症候群、特定不能の広汎性発達障害などが含まれます。これらはそれぞれ特徴があるのですが、これらはオーバーラップすることもあり、互いの境界線を引くのは極めて厳しいため、ここでは「自閉症スペクトラム」という広い言い方をします。
ここから、自閉症スペクトラムの特徴について述べていきます。自閉症スペクトラムは、以下の2つの症候が組み合わさって出現します。
もちろん、人によって強弱がありますし、多かれ少かれ皆が持っている個性であることもあります。これが強く出てしまった場合にのみ、社会的生活に困難を引き起こします。
ひとつひとつを具体的にみていきましょう。
対人交流とは、他人の情動に対してどう反応するか、喜び・興味や達成感を分かちあうときの姿勢のことなどを指します。視線・表情・姿勢・友人関係なども含まれます。
自閉症スペクトラムの人は……
自閉症スペクトラムの人は、言葉を用いたコミュニケーションにおいて以下の特徴があります。
また自閉症スペクトラムの人は、言葉を用いない(非言語的)コミュニケーションにおいて以下の特徴があります。
(鉄道、天文学、生物、地理、コンピュータ、テレビゲームなどさまざまなパターンがあります)
自閉症スペクトラムの人の中には、社会で大成功を収めていたり、少々変わった人程度で済んでしまっているケースもあります。一方、非常に生きづらく、厳しい人生を送っている状態の方もいます。
前述したように、自閉症スペクトラムは障害になるパターンもありますし、障害にならないパターンもあります。障害にさせないためには、「できることをしっかりやっていき、個性を伸ばしていく」「できないことは無理をせずやらない」という考えのもと、その人に合った環境を考えていきます(これは自閉症スペクトラムの人に限ったことではありませんが)。自閉症スペクトラムの方は、環境さえ合えば大きな力を発揮することもあるからです(本田先生が取り組んできた支援については「自閉症スペクトラムの方への支援―子どもの頃からの継続的なサポートが重要」を参考)。
ここまで書いたような特徴が自分に当てはまると思う方は、一定数いるはずです。しかし、「自分は自閉症スペクトラムかな?」と思ったとしても、生活の上で自分も周囲も特に困っていなければ、何もする必要はありません。個性を生かして充実した人生を楽しんで下さい!
しかし、社会生活の中で何らかの生きづらさを感じているようであれば、専門機関に相談してもよいかもしれません。大人を対象とする精神科で発達障害の診療を行っている医療機関か、あるいは「精神科」を訪れることに躊躇してしまうような場合は、県か政令指定都市に発達障害者支援センターがあるので、問い合わせてみましょう。
「大人の発達障害の種類とその症状・特徴―自閉症スペクトラムとADHD、LD」参照。
「大人の発達障害の種類とその症状・特徴―自閉症スペクトラムとADHD、LD」参照。
「発達障害とは―大人の発達障害、検査・診断はどのように行うのか」参照。
「大人の発達障害の支援―就労支援機関、就労に必要なスキルについて」・「発達障害への精神科治療―カウンセリングと薬物療法」参照。
信州大学医学部 子どものこころの発達医学教室 教授
関連の医療相談が6件あります
IQ検査の結果
5歳の息子が1歳半検診で指摘され結果、軽度知的障害と診断され、その後自閉スペクトラム症とも診断されました。 療育にも通い、4月から小学生になる事で療育でかかりつけのクリニックでIQの検査を受け結果IQ91でした。 同じ時期に療育手帳更新で、指定された子供センターでIQ検査をした所、IQ79でした。 IQに差がありすぎて混乱しています。 学校や保育園も境界知能か平均かで支援の仕方も変わってくるので、どちらを伝えたら良いのかも分かりません。 このように検査する場所で違った場合はどうすれば良いのでしょうか?
自閉スペクトラム症と自閉症のちがいについて
3歳3ヶ月の娘についてです。 娘ですが、先日発達センターより 『軽度の発達障害で自閉スペクトラム症』と診断されました。 そう診断された主な理由として、 ●言葉の遅れ ●コミュニケーション能力の欠如 の2つが認められるからです。 この自閉スペクトラム症と自閉症というのは別物なのでしょうか。 この診断があった際、私は自閉スペクトラム症という言葉を初めて聞いたのでいまいち理解できずに、先生に『うちの子は自閉症ということなのでしょうか?』と聞いたところ『いえ、自閉症ではありません。』との事でした。 今後、娘が成長するにあたり、自閉スペクトラム症と周りに話す機会があるかと思うので、その辺の違いについてきちんと理解をしたいと思い投稿しました。 (ネットで調べてもいまいち分かりませんでした。私が無知なのもあるかも思うのですが。)
発達障害だと思います。
仕事が長く続きません。仕事が出来ないと思われて、3カ月か半年しか続きません。 発達障害だと思います。
不登校、聴覚過敏
小さい時から、爪かみをし、指の皮膚を噛んで指先がぼろぼろになったりしていました。10歳くらいから、対人関係(大人)で悩むことが多く、学校の先生に対しての対応かしにくく、自分が嫌と思う先生には口も開けないようになったりしていました。嫌なことがあったり、親の私が怒ったりすると自室にこもり、手首をカッターで軽く切るなど自傷行為もありました。この時、小児科から精神科、カウンセラーと話す機会がありましたが、本人は拒否して、親の私だけが通いました。成績はそれなりによく、中学も友達との関係は良好で過ごせました。中学の担任の先生は女性で理解があり優しい穏やかな方だったのでなんとかやり過ごせましたが、公立の高校に入り、生徒会にはいり頑張っていましたが、担任(女性)が嫌過ぎて二学期から学校に行かなくなりました。耳なりや、聴覚過敏を訴えたので耳鼻科に行くと、自閉症ではないかといわれました。 学校での立場は、彼女的には頑張っている自分が当たり前のようにしているので かなり疲れるのだと思います。 目がうつろで暗く落ち込んでいたのですが、学校に無理に行かなくても大丈夫と関わると穏やかに笑顔も見せるようになりました。自閉症スペクトラムかもと考えて様子を見ていくべきでしょうか?
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